現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第百夜 化身 下 04/10

このブログを開設して三年半、とうとう百夜を迎えることが出来た。
途中で長期の休止期間など、紆余曲折が有ったとはいえここまでこぎつける事が出来たのは
読者の皆様方の暖かい応援と励まし、そしてメンバー各位のおかげである。
また、本ブログのメインコンテンツともなっている宮大工氏のご協力に拠るところも多大である。
今まで、本当にありがとう。そして、これからもどうかよろしくお願いする次第である。

また、コメントにも寄せられているが、以前百夜を目処にブログの記事を整理・改訂・編集して
書籍化する計画を進めているとお知らせした事が有るが、途中の休止期間が長かった事や
現在の自分の状況では少々時間が取れないこともあり現時点では未定とさせて頂く。
ただ、近い将来余裕が出てきた所で改めて検討するつもりでは有るし、
記事の改訂や書き起こしについては皆様もご存知の羽沢将吾氏に依頼打診し快諾を得ているので、
固まり次第こちらでお知らせして行くのでよろしくお願いする。

さて、それでは「化身」最終話をお聞き頂こう……

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~「自分はあの方を得た癖に私の恋路は邪魔するの?酷い人ね」
美女が妖艶な微笑を深くして宮大工氏を見詰める。
と、美女がに廻した腕に力が篭められたのか、風熊が「ぐ……」と呻き声を上げた。
「あら、ごめんなさいね。つい力が入っちゃったわ」
美女が少し慌てたように呟きながら腕を緩めて風熊の体を少し離したその瞬間、
「ふっ!」
気合と共に宮大工氏の肉体が目にも留まらぬ速さで風熊の腕を掴み、こちら側へ引き戻そうとした!が……
「それはいけませんね……分を弁えて下さいね」
宮大工氏が弾ける様に後方へと飛ばされ、春風の様な穏やかな声が少女から発せられる。
底知れぬ恐怖に慄きつつ少女に視線を送ると、にこにことした愛らしい笑みを浮かべているのに
その瞳には無慈悲な恐ろしき意思が込められているのを本能的に感じてしまった。
「いくらあの方の良人でも、私達に直接刃向う事は許しません。
 ***、どうするの?その方を本当に連れ還るの?」
はっと我に返った自分が慌てて宮大工氏を見ると、とりあえず怪我等はなく上手く受身を取った様で
手足についたほこりを払いながら、とても厳しい表情でこちらへと歩いて来ている。
「そうね……最初は冗談だったけど、この男はとても……ええ、今までで一番良いわ。
 これならもうしばらく欲しくなる事は無いかも知れないわね」
少女の問い掛けに、美女がにっこりと微笑を還しながら応えている。
先ほどまでの恐ろしげな微笑とちがい、無邪気な童女の様な愛らしい微笑を見せている事に対して、
逆に戦慄を感じながら自分は宮大工氏の厳しい表情を窺がった。
「そう。ではもう還りましょう。今はあの方も酔い潰れているから大丈夫だけど、
 早くしないと余計な邪魔が入るでしょうし……」
少女が美女へと言い、
「そうね。その男もこのまま連れてかれてたまるものか、と思ってるみたいだしさっさと還りましょう……」
美女も宮大工氏をけん制する様にそう答えた時。

「風熊さんをヒック連れて行かれるヒックワケにはヒック行きませんにょケプッ」

緊張感のかけらも無い酔っ払いの声が背後から響き、
「あら……もう来ちゃったのですね」
少女が苦笑しつつ肩を竦め、
「っ!何よ……早かったのね」
美女が細い眉を歪め、苦々しげな表情を浮かべた。
「御二方、おヒックさしぶりですね。ご健勝で何よりゲフゥ。
 でも、あたしの旦那様と大切なお友達にヒック、酷い事をしてくれますねウップ。
 いくら八坂の命様でもケプッ、見過ごすワケには行きまヒック。
 それに貴女、上社(こっち)でナンパなんてしてると御名方様に叱られますよケプ」
所々に緊張感の無い異音を挟みつつ喋る声の主を振り返って見ると、
イイ感じに顔を紅くした沙織様がよたよたとこちらへ向かって歩んで来ている。
「貴女には関係ないでしょ!私はこの男を気に入ったの。貴女だけなんて狡いわよ」
沙織様の言葉に反応した美女が、何となく毒気を抜かれた様な雰囲気を漂わせながら返すと
「なら貴女も人の身になってヒックからにする事ですゲプッ。
 ってゆーか、洩矢の守様も止めて下さヒックよ」
にこにこと微笑みながら、今度は少女へ向かって非難らしき声を向けた。
「ごめんなさいね。***は我侭だから……
 でも、貴女だって彼にとって悪い事では無いのは解っているでしょう?
 こんな機会、滅多に無いんですよ」
相変わらず苦笑したまま少女が答えると
「それは飽くまでもそちらから見たヒックらでしょう?
 こちらから見てみると色々と解るゲープ事が多いのですよ、ミシャクジ様ヒック。
 我々と私達とではヒック、随分と違っている事には気付くべきゲフ」
と、意味深な言葉を能天気な調子で沙織様が返した。
ミシャクジ様、と言う言葉を聞いた少女は少し苦々しげな表情を作った後、
「じゃあ、彼に聞いてみましょう。***、彼を正気に戻して」
一つ小さな溜息をついてから美女に向かって声を上げる。と、
「もう、正気に戻ってるわよ」
「「え?」」「……はい?ゲプ」
予想外な美女の言葉に自分と宮大工氏、そして沙織様の驚きの声が重なった。
「ねえ、貴方はどうしたいの?私達と一緒に来て、楽しく暮しましょうよ」
その場の全員が注目する中、再び美女の谷間に顔をむぎゅ、と埋められた風熊が
「あー……その、非常に魅力的かつ心引かれるお申し出なのですが、
 俺はこっちでやる事が残ってますので今回はお断りさせて頂ければ、と……」
普段の彼からは想像も出来ない優柔不断な答えを蕩けた様な声で返した。
「何よ……私の乳房じゃ不満なの?あの方みたいに小さめな方が言いの?」
「いや、この乳に不満等有ろうハズは有りませんが、そう言う問題じゃなくてデスね……」
美女の胸の谷間から聞こえてくるだらしない声に半ば呆れていたが

「か・ぜ・く・ま・さ・ん……?ヒック」

凄まじい怒気をはらんだ沙織様の声に
「ひい!ごめんなさい!俺はまだそちらには行けません!」
ガバ、と谷間から顔を引き剥がす風熊を見て、思わず噴出してしまった。
「仕方ないわね……今日は諦めるわ。でも、気が変わったらいつでも来てね」
美女が名残惜しそうに風熊から腕を外しつつ、軽く接吻をする。
「は、はい!その時はよろしくお願いします」
まるで少年の様に真っ赤になった風熊がそう答えるのを聞きながら、
何故か自分の視界が急に暗くなって行く。
「あ、あれ……?」
その異様な感覚に戸惑うウチに、自分の意識は昏い闇に包まれて行った……

「……ん?」
ふ、と意識が戻ると、目の前に沙耶の真っ赤な顔が見えている。
「ねー!J起きたよー!」
ケラケラと笑いながら沙耶の上げた声に驚き身を起こすと、そこは旅館の部屋だった。
「夢……なのか?」
まだはっきりしない頭を振りながら呟く自分の前に、すっと水の入ったコップが差し出される。
「夢、じゃないと思うぜ」
コップを受け取りながら声の主を見ると、少し蒼褪めた顔の風熊が立っていた。
水を一気に飲み干してから廻りを見ると、大騒ぎしつつ酒盛りしている連中の他に
部屋の隅の布団で横になっている宮大工氏と、その腕を枕にしてすーすーと寝息を立てている沙織様が目に入る。
「とりあえず、風呂にでも入ってこないか」
あの事が夢か現か解らずに戸惑っている自分に掛けられた風熊の言葉に頷き、二人で大浴場へと向かった。
それにしても、あれはなんだったのか……?
風呂に入って落ち着いたら風熊や宮大工氏と話をしてみよう、と思いながら脱衣場で服を脱いでいると……
「!風熊、その背中!」
自分は何気なく見た風熊の逞しい背中についた真っ赤な二本の跡を発見して叫んでしまった。
「……ああ。あの時抱き締められた跡、だろうな……
 あの時、ぎゅっと力が入った時に意識が戻ったんだ。
 彼女……と言うかあの方と目が合ってからは気を抜いたらそのまま持ってかれそうだったよ。
 おっぱい大きいですねとか言ったのは、あのまま何も反応せずに対峙してたら意識を失くしそうだったから
 咄嗟に思い付いた言葉を何も考えずに搾り出しただけさ。
 ただ、彼女の胸に見惚れた時……あの大きな胸に、なぜか豊穣の実りを感じたんだ。
 なんていうのか、秋の収穫や赤ん坊が母の乳を飲む、そう言った豊かな実りがイメージされたんだ。
 それに、確かに魅力的な誘いだと強く感じた。もしかすると、お祭りとかで持っていかれる人は
 あの魅力的な誘いに抗えなかったのかもしれないな……」
独り言の様な風熊の言葉に、改めて背筋が寒くなり鳥肌が立つ。
風呂から出た後、起きてきた宮大工氏と沙織様も含めて自分達四人はこの件についてなにも話さず、
他のメンバーと一緒にひたすら痛飲し翌朝は宮大工氏と沙織様、沙耶の三人を除き全員宿酔いでダウンしてしまった。

あれから自分は諏訪大社に訪れる機会が無いが、近い将来子供達を伴って行こうと思う。
その時、あの方達と再び見える事となるのだろうか?
うむ、念の為風熊にも生贄として同行して貰おう……


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深夜の更新お疲れ様です

やはり、深夜の方が更新しやすかったりする物ですか?
時間のご都合もあるとは思いますが…

私は、何となく人生においてやる事はやったような気がしているので、
あっと言う間に連れて行かれそうです…

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

無糖様
連続コメントありがとうございます。
昨夜(と言うか朝?)はふと目が覚めてしまい、眠れなくなりネットを見ていたらメールで原稿が届いたので修正して更新致しました。
更新する時間は拘っていませんし、時間でし易さが変わる事は有りませんね。
あちらへ連れて行かれる時にはどんなに抵抗しても無駄かおしれませんし、心を強く持てば抵抗可能かもしれません。
ただ、あの時の風熊は沙織様に一喝されなかったらかなり高い確率で連れて還られたのではと思います。
ま、それはそれで幸せかもしれませんけれど、ね。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

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