現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第十七夜 オオカミ様の涙 (続) 12/02


今夜は第二夜"オオカミ様の涙”の続きをお届けしよう...
この一連のお話の主である宮大工氏と年末年始に直接お会いする機会を頂ける事となった。まだ予定なので確定では無いが、とても楽しみである。
果たして、オオカミ様のお社に連れて行って頂けるだろうか?
全ては、一期一会の出会いの中で...

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あの地滑りから半年ほど経ち、春の息吹が萌え始めた頃。

ようやく地滑りの後処理が終わり、オオカミ様のお社の再建に掛かれる事になった。
しかし、社の有った台地は大きく崩れてしまったので相当削られ、
以前と全く同じ状況ではない。
とりあえずは管理している神社の神主さんと相談を始めたが、
元々オオカミ様の神社は便宜上管理しているだけなのでココまで大きく壊れてしまったお社の再建に多額の費用を掛ける訳にはいかないらしく、相談は遅々として進まない。
俺は出来る限り早く再建したいので神主さんの曖昧な態度にイラついてしまい、つい失言してしまい親方に叱られる事が何度も有った。

その日も神主さん相手にちょっと失礼な態度を取った挙句、捨て台詞まで吐いて事務所に帰ると親方が鬼の表情で俺を待っていた。
「このバカヤロウ!お前が神主さんを怒らせてどうする!何考えてんだ!」
親方が怒鳴る。イラついていた俺はつい口答えしてしまった。
「しかし、親方!このままじゃあオオカミ様の社が何時までたっても進みませんよ!」
次の瞬間、俺は親方にぶっ飛ばされた。
親方の表情はもう怒っているのではなく、呆れているような、哀しそうな表情だった。
「・・・○○、お前はもうオオカミ様の社はやらなくて良い。明日からは今俺がやっている現場と交代しろ。」
「そんな!俺は嫌です!俺がやらなきゃ・・・!」
叫びだした俺の肩を後ろから誰かが掴んだ。振り返ると、おかみさんが首を振りながら苦笑していた。

「○○、頭冷やしなよ。これ以上ダダこねたら、親方が本当の本気で怒っちまうよ。」
力を込めて捕まれた肩の痛みで我に帰り、俺は何とか理性を取り戻した。
そして、「解りました...」と声を絞り出した。
もちろん、納得なんて出来るはずは無い。ただ、これ以上頭に血の上った俺が一人で空回りしては再建できるものも出来なくなる事くらいは解ったので辛うじて自分を抑えつけただけだ。その夜は哀しさと悔しさで中々寝付けなかった。

オオカミ様の髪飾りを握り締めながらいつの間にか浅い眠りに入っていたが、唐突に俺は覚醒した。ガバッと跳ね起きると枕元にオオカミ様の姿があった。あの時から半年振りに見るその姿は白い巫女衣装ではなく、薄桃色の艶やかな着物となっていた。長い黒髪も綺麗に梳かれていて、今までの彼女とは雰囲気が違う。俺たちは言葉も無く見詰め合っていた。
どれほどの時が流れただろうか。オオカミ様の澄んだ大きな両の瞳からつ、と涙の筋が毀れた。俺は、山ほど話したい事が有るのに言葉を発する事の出来ない自分の口を呪った。
「○○様、私の為にお骨折り頂きありがとうございます・・・。」
何時も通りの、鈴の鳴るような和えかな声が彼女の口から紡ぎ出される。

「主の命により私は少しの間留守に致します。ですので社の普請はお急ぎなさらぬ様お願い致します。○○様、どうぞお心安らかに、お焦りになどならないで下さい。貴方様の御健勝をお祈りしております...」
俺の口は動かない。しかし、金縛りの様になった体は唐突に、そして自分でも驚くような動きを行った。
・・・一瞬の後、俺はオオカミ様を両腕で抱き締めていた。
「ダメです!何処にも行っては!此処に、この場所に居てください!」
彼女を抱き締めると同時に、大声で叫んだ。彼女の御体はか細く華奢で、そして燃える様に熱かった。

彼女は何も言わずにそっと俺の頭の後ろに両手を廻し、きゅっと少し力を入れて抱き締めた。しかし直ぐに俺の頭を両手で挟み、俺の顔を彼女の顔の正面に持ってきた。間近に彼女の漆黒の瞳が有る。その瞳は人のそれではなく、吸い込まれたら戻って来れないような、まるで宇宙の深遠を思わせる深さだった。
「大丈夫。少しの間です。私は必ず此処に戻ってきます。貴方の居る、この場所に...」俺は猛烈に襲ってくる眠りの魔力に抗ったが、その後に気付いた時には昨晩眠りに付いた時のままの布団の中だった。
「夢、じゃない。筈だ...。」昨晩、彼女を抱き締めた感触は両腕にハッキリと残っている。
その時、俺は握り締めていた髪飾りが無くなっている事に気付いた。そして、代わりに握り締めているものは長く艶やかな一房の黒髪だった。

事務所に出勤すると、既に神主さんが親方と話をしている。
俺は挨拶をしながら神主さんに近付き、「昨日は申し訳有りませんでした!」と誠意を込めて頭を下げた。「いえ、解ってくれれば良いんですよ・・・おや?昨日までとはずいぶん雰囲気が違いますね?」
「おお、昨日までのおめぇはまるでオオカミ憑きそのものだったが、今朝はいつものおめぇに戻ったようだな。なんか良い事有ったんか?」
親方も安心したように言う。
「はい、ちょっと有りまして。親方、後で親方の現場の引継ぎの相談させて下さい。」「おう、それはもういいや。おめぇは続けてオオカミ様の社の相談を神主さんとしろや。」「いいんですか?」「バーカ。俺みたいなむさい爺が行ってオオカミ様の逆鱗にでも触れちゃ適わねえからな。じゃあ頼んだぞ!」「はい、ありがとうございます!」
俺は神主さんと相談を始める為に、資料を出そうと自分の机の引き出しを開けた。そして、お守り袋に入れた彼女の髪の房を仕舞い込んだ。
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オオカミ様は行ってしまったのですか。 しかし、降臨後に人間の毛髪の現物が残るなんて? オオカミ様といいますから、どちらかと言うと獣毛のほうが相応しくも思いますねえ

メイブ様
ご無沙汰しておりました。
オオカミ様は帰ってこられたそうです。
そのお話は次の機会に...
また、オオカミの化身とはいえ、相手は神様ですからね。
何が有っても不思議ではないかと...?

いつも感動しながら読んでますhttp://blog83.fc2.com/image/icon/e/257.gif" alt="" width="14" height="15">http://blog83.fc2.com/image/icon/e/77.gif" alt="" width="14" height="15">

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