現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第壱夜 灰白き影 11/14


記念すべき壱夜目は、自分の親友・祐樹(仮名)の話から...

祐樹とは大学生時代に知り合った。
彼は二部の学生で、普段顔を合わすことは無かったが
所属していたバイクサークルで知合い、意気投合して友人となった。
彼は昼間は働き、夜は大学に通うという苦学生だった。
しかし彼は明るく、誰にでも丁寧な対応をする好青年で、
学校でもサークルでも人気者だった。
もちろん女の子にも良くモテたが、特定の彼女は作らなかった。

ある年、彼に恋をした新入生が現れた。とても可愛らしく、
動物好きな心の優しい女の子で、実は自分が彼女に惹かれていたが
彼女から「先輩、私祐樹さんが好きなんです」と相談されてしまい
自分は玉砕となってしまった。
しかし、祐樹ならば仕方ないか、と思い彼女と祐樹の中を
取り持つ事にし、祐樹を誘って三人で飲みに出かけた。

しかし、彼女から告白された祐樹は
「とても嬉しいんだけど、ダメなんだ。」
と穏やかに、しかしはっきりとした答えを返した。
彼女は瞳一杯に涙を貯めながらも「ありがとうございました」
とだけ言って先に帰っていった。

その後、自分は納得できず祐樹に詰め寄った。なぜ、ダメなのか。
「お前には、話しときたかったから丁度良いや...」
店を出て、彼に連れられアパートに向かう。
カギを開けていると中から女性の声が聞こえた。
「祐ちゃん?お帰りなさい」「ただいま、姉さん」
そういえば、お姉さんと二人暮らしだったっけ、と思い出した。

「今日は友達を連れてきたんだ」
「まあ、初めてね。いらっしゃいませ」
部屋の中には、ショートカットで分厚いメガネをかけた
儚げな女性が座っていた。

お互いに自己紹介をし終わると、祐樹が言った。
「姉さん、コイツは俺の事を全て知ってもらいたい親友なんだ。
だから、姉さんの事も話したい。外してくれるかな。」
外す?席をか?それじゃ逆じゃないのか?混乱する自分。
すると、彼女は黙ってメガネと鬘を外した。

ふぁさっと流れる長髪。しかしその色は、赤味掛かった薄い茶髪。
そして、メガネを取ったその瞳は、
右がルビーのような深紅、左が白味掛かった淡いブルー。
俺は、彼女の余りの美しさに息を呑んでしまった。
もし、女神が実在するならこんなひとではないのか。
彼女に見惚れている俺を横目に、祐樹が語り始めた。

姉は先天的に抵抗力が弱く、また体の色素も薄く病気がちである事。
左目は、薬の影響で色が変わり、殆ど見えていない。
彼らの実家は山深い集落で、古い慣習に縛られる僻地で有り、
彼女は鬼子として忌み嫌われ中学を卒業すると同時に
追い立てられるように東京へ出てきたと。
祐樹は物心つく頃から姉を深く愛しており、自分も高校卒業と同時に
家出同然で東京に出てきて、姉と暮らし始めたそうだ。

そして、二人は姉弟の関係よりももっと深い関係であると。

自分は余りの衝撃に打ちのめされ、声も出せずに話を聞くのみだった。
しかし、そんな大事な事を話してくれた祐樹の心に打たれ、
この姉弟の為に出来る限り力になろうと決心をした。
そして、俺はちょくちょく彼らのところへ遊びに行くようになり、
祐樹の姉も自分には心を開いてくれる様になった頃。

彼女はちょっとした風邪から合併症を引き起こし、
あっけなくこの世を去ってしまった。
抜け殻のようになった祐樹を叱咤激励し、
三年掛かったがなんとか祐樹は立ち直った。
元々明るく前向きなヤツなので、一度上向けばメキメキと立ち直り、
姉のことを想いつつも彼女を作り、とうとう結婚に漕ぎ着けた。

しかし、元気だった新妻は一年ほどで躁鬱病となり、
祐樹の献身的な介護もむなしく回復は見込めず、彼女の両親から
「祐樹君には迷惑を掛けたくないから...」と離婚の申し入れがあり
離婚となってしまった。また、祐樹には何人かの彼女が出来たが、
全て原因不明な分かれ方と成ってしまっている。

数年前から祐樹と俺は離れているので中々逢えない。
しかし、先日二度目の離婚となってしまった祐樹と
何年ぶりかに俺の部屋で朝まで飲む機会を得た。
「俺には、姉さんが憑いているんだ」
酔いの廻ったトロンとした目で祐樹が呟いた。
「そんなバカな。もしそうだとしても、
お姉さんがお前の幸せの邪魔をする訳無いだろう」
俺は祐樹を叱咤した。
「良いんだ。良く解ったんだ。俺には、姉さんしか居ないって。
そして、姉さんには俺しか居なかったんだ。ありがとう、J。」
俺はそれ以上何も言う事が出来なかった。

翌日、俺たちは夕方まで眠り、暗くなってから
帰途に着く祐樹を見送った。
その時、タンデムシートに灰白い影が纏わり憑いていた。
俺は目を擦り、もう一度見直したが既に祐樹のバイクは
見えなくなってしまっていた。

祐樹には、本当に姉が憑いているのか?
祐樹の人生はこれからも姉の為だけに存在するのか?
そして、祐樹はこれからどうしていくのか・・・俺には解らない
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