現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第二十八夜 狐誘幻 【前】 12/22


間もなく年末だが、今年は本当にあっという間に過ぎた気がする...
歳をとるごとに一年の過ぎ行くスピードが速くなっている。
来年はどのような年になるのか、出来るならば全ての善き人に幸福が訪れる年になって欲しいものだ...

それでは、今夜は宮大工氏の話をお届けしよう...
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
お伊勢参りの翌年、梅が開き始める頃。

山の奥にあるお稲荷様の神主さんから、お社の修繕依頼が入った。
そう、弟弟子の一人が憑かれたあのお稲荷様の社だ。
親方に呼ばれ、「まあ、おめぇにやってもらおうか。」と任される事になった。
とりあえず久しぶりに様子を見に行くと、昨年の台風で結構痛んでいる。
一通り見積もって、一休みしようとお社の縁に腰を下ろすと左横に女が座っていた。
俺が座った後から座ったのではなく、俺が座った時には既に女が座っていた。
もちろん、俺が座る前には姿など見えなかったし、境内には俺以外の誰も居なかったはずだ。
驚きはしたが、とりあえず気付かない風を装って直視せずに様子を見る事にした。

俺も女も何も喋らず、ただ時間だけが経過していく。
どれほど経っただろうか、女がつ、と立ち上がった。
長い髪が風に揺れているのが視界の端に映る。女が俺を見下ろしているのが気配で感じられた。
どうやってこの状況から脱するべきなのかと考え始めた時、鳥居の向こうに人影が現れ、こっちに向かって声を掛けてきた。
「やあ、○○さん!ご苦労さん」
このお社の神主さんだ。俺が一瞬あちらに気を取られた瞬間、女の気配は無くなっていた。
ふう、と大きく息を吐き立ち上がる。神主さんが一人の女性を連れてこちらへやってきた。

連れの女性は神主さんの娘さんだそうで、長い黒髪の中々の美人。
以前、お稲荷さんの祟りの一件では交通事故で入院していたので今回が初見だった。
しかし、彼女は父親から話を聞いていて俺の事を良く知っているようで、親しげに話し掛けられた。
その後、本社に移動してからとりあえず見積もりを説明する。
神主さんは前回の事で相当懲りているらしく、「キミに任せるからお稲荷様が満足するように仕上げてください」と言ってくれた。
それでは、と失礼しようとするともう夕方だから夕食でもと引き止められ、親方に叱られますからと言うと神主さんはウチの事務所に電話して親方から「今日は直帰で良い」との許可を取り付けてしまい、結局夕食をご馳走になる事に。
その日は娘さんが腕を振るい、とても美味しい家庭料理をご馳走になった。
神主さんご夫婦は食後にいつの間にか俺と娘さんの二人を残して退散してしまい、娘さんと俺は二人で遅くまで話しこんでしまった。

十一時を廻ってしまった帰り道。俺が山際の道を急いでいると、左手の森沿いに人が手を上げているのを見つけた。
車でもエンコしたのかと思い、人影の前で車を止める。ヘッドライトに浮かび上がったその姿は、髪の長い女だった。
瞬間、全身総毛立つ。人では無いものの様な気がしてそのまま通り過ぎようかと思ったが、もしホントに困っているのなら放っておく訳には行かないと思いなおして車を停めた。
助手席側の窓を少しだけ開け、「どうかしましたか?」と声を掛ける。「ちょっと置いてけぼりにされちゃって...」ハスキーな声で女が応える。ああ、人間だったかと胸を撫で下ろして「良ければお送りしましょうか?」と聞くと「良いんですか?じゃあ、お言葉に甘えさせて頂きます。」と乗り込んできた。
気の強そうな切れ長の瞳、つんと上を向いた形の良い鼻、少々厚めな紅い唇、きゅっと尖った顎。
乗り込んだ女の顔を見た俺は、その美貌にちょっと驚き見つめてしまった。
「私の顔に何か付いてます?」小首を傾げながら女が聞く。彼女の甘ったるい体臭が鼻に付く。
普通の男ならイチコロでやられてしまうのだろうな、と考えながら
「いや、貴女の様な美人を置いてけぼりにする男が居るなんて、と感心したんですよ」と平静を保ちつつ答えた。
「まあ、お上手」唇に手を当てて、コロコロと笑いながら女が答える。切れ長の瞳が俺を見詰めているが、俺は運転に集中して気付かないフリをした。

この視線、どこかで感じた覚えが有る。それも、ごく最近...?
おっと、彼女の行き先を聞かなければと思い出し聞いてみると、なんと今辞したばかりのお稲荷様の神主さん宅だとの事。
俺が驚くと、彼女も神主さんの娘だと言う。俺がさっきまで談笑していたのは、彼女の妹だそうだ。
とりあえずUターンして今来た道を帰る。そして神主さん宅に着くと、彼女は「またお会いしましょう」とウインクして家の中へ入っていった。
なにか、どこかに違和感を覚えながら俺は家路を急ぐ。
しばらく走り、先ほど彼女を拾った辺りまで差し掛かるとまたも人が手を上げて立っている。
一体今日はどうなってるんだと思いつつ車を停めてみると、そこにはなんとオオカミ様の社で会ったあの少年が立っていた。
助手席側の窓を開けると、少年は屈んで顔を近づけて「努々、惑わされませぬ様...」と言い、助手席に何かをポトっと置き、さっと森の中に姿を消してしまった。
俺はしばらく呆けていたが、彼が助手席に置いていったものを手に取ってみるとそれはオオカミ様のお守り。
ハッと気が付き懐を探る。しかし、そこにはいつも身に付けている筈のオオカミ様のお守りが入っていなかった。
(続く)
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管理人さん、日々のアップお疲れさまです。
こと、宮大工氏の話は毎日たのしみにチェックしています。
やっぱり彼の話はいいです。ワクワクします。

もう管理人さんは、宮大工氏とお話されたのでしょうか?
後日そのときの印象など教えていただけると幸いです。

今年も数えるほどとなってまいりましたが、風邪や流行病など
かかりませんようご自愛ください。

これからも応援しております。

フラグキタ――(゚∀゚)―――――!!か?
後半に目が離せませんね
女狐にはよくよく注意しないとですね
現実世界の女性にも・・・

min様
今晩もようこそ。
自分への暖かいお言葉、大変感謝いたします。
宮大工氏には年明けにお目にかかる予定となっておりますので、まだお会いしておりません。一緒に伺う美神は昨日から自分の家に泊まっており、飲んだ呉れております。明けて元旦には風熊も合流し、向かう手筈となっております。
お会いした際のレポートはする予定ですので、お待ち下さいませ...

ねねたん様
いつもありがとうございます。
今回は三篇ですので、後編もお楽しみにお待ち下さい。
たしかに、女性は怖いですね...特に現実世界の。
いえ、たくましいというべきでしょうか...?

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