現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第弐夜 オオカミ様の涙 11/14


それでは続けて第弐夜...

この話は、かの「2ちゃんねる」に存在するオカルト板内の
「寺社にまつわるオカルト話/山にまつわる怖い・不思議な話」
に不定期に書き込まれている「宮大工」氏の一連の話に通ずる。

宮大工氏は我らの知人の血縁者であるとの事。
2ちゃんねる上では偽者が現れたりし、
真贋の区別がつき辛くなってしまった様だが、
ここに書かれる話は本人から知人が聞いて書き留めたものを
自分が許可を得て掲載する。

それでは、本編へと入ろう...

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ある年の秋。

季節外れの台風により大きな被害が出た。
古くなった寺社は損害も多く、俺たちはてんてこ舞いで仕事に追われた。
その日も、疲れ果てた俺は家に入ると風呂にも入らずに
布団に倒れこんで寝てしまった。

「○○様、○○様...」
どこかからか懐かしい声が聞こえる。
この、鈴の鳴るような声は...俺はのそのそと起き上がると廻りを見廻した。
すると、枕元に懐かしい姿があった。
「オオカミ様...」夢か現か、幾年振りかに見る姿。
「○○様、お久しゅうございます。」彼女は泣き笑いの様な不思議な表情で俺を見つめている。
良く見ると、白い顔と着物は泥にまみれ、長い黒髪もバサバサである。
そして、俺の納めた銀の髪飾りも見当たらない。
「申し訳ございません。○○様に頂いた髪飾りを失くしてしまいました...」
彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
俺は取り乱し、どうして良いか解らなくなってしまった。
「そんな、泣かんで下さい。また新しい髪飾りを、
貴女にもっとお似合いの髪飾りを見つけてきますから...」
彼女はポロポロと涙を零しながら「お許しください...」と言い
ふっとかき消す様に居なくなってしまった。
「オオカミ様!待って、待って下さい...」
はっと目覚めると、窓の外は白みつつあった。

出勤し事務所に入ると、直ぐに親方に呼ばれた。
「おう○○!実はな...」「オオカミ様の社に何か有ったんですね!」
親方の声を遮るように俺が叫ぶ。
「お、おお。良く解ったな。先日の台風で、オオカミ様の社が地滑ったらしい。
さっき神主さんから連絡が有った。社は下の林道辺りまで落ちて土砂に埋まっているそうだ。」
「親方!俺は今日からオオカミ様の社に行かせて下さい!」
「バカヤロウ!地滑ったばっかで社の修復なんぞまだまだ先だ!
それに、お前が掛かってる現場はどうすんだ!」
親方に怒鳴られたが、俺は喰い下がった。
「お願いします!なんなら今日は休みでも良いんです。様子を見るだけでも!」
親方は凄い形相で俺を睨んでくる。しかし、昨夜のことも有り、
俺は負けずに睨み返した。何分ほど睨みあっていただろうか、
突然おかみさんが口を挟んできた。

「おまえさん、行かせておやりよ。○○、昨夜夢枕にオオカミ様が立ったのかい?」
「・・・はい、おかみさん。」
「で、社を早く直して欲しいとでも言われたのかい?」
「いえ、泥だらけの姿で出て来ましたが、社の事は何も...」
「じゃあなんで出てきたんだい?」
「俺が納めた髪飾りを失くしちまったと。泣きながら謝るんですよ...」

「ふう...」親方が溜息をつく。
「やれやれ、相思相愛かよ。しかし神様相手じゃキスも出来んだろうによ。まあ良いや。
行っていいぞ○○。ただ、無理すんじゃねえぞ」
「はい!ありがとうございます!」俺は軽トラにスコップや鋤簾を積むと、急いで社へと向かった。

途中の林道は予想以上に荒れており、四駆にしなければ越えられないほどの場所が何箇所も有った。何時もの倍以上の時間を掛け、なんとか社の付近まで近付いたが、其処には目を覆うような惨状が広がっていた。

社へと上る長い階段は跡形も無く、社の建っていた広場は殆どが削られてしまっている。
鳥居は見当たらず、恐らく土砂に埋もれている。
そして、社は土砂に半ば埋もれかかった無残な姿を晒していた。
俺は四苦八苦しながら社へと近付き、状態を確認した。
とりあえず社の周りを探し回るが、髪飾りなどは見付からない。
四時間ほども探し回ったが見つけられず、途方に暮れながら軽トラに戻ろうとした時、
目の端で何か光るものを見た。

急いで当たりを付け、駆け寄って見る。そしてその周辺をスコップで掘り返してみると、数回の後に土砂の中から鈍く光る髪飾りを掘り出す事が出来た。とりあえずお社に向かって一礼し、先ほど掘り出した狛狼様二体を軽トラの荷台に固定し、このお社を管理している麓の神社へと向かい、神主さんに事情を話して引き渡してきた。
ただ、髪飾りは俺が持ち、お社の修復後に改めて納める事となった。

事務所に帰ってから、急いで現場に向かう。
仕事を終えて戻ると、親方は他の現場から既に戻っていた。
「おう、○○。髪飾りは見付かったか?」
俺は一通り報告し、地滑りの修復が終わった後のオオカミ様のお社は
俺に任せてくれるようにお願いした。
「ああ、言われんでも解ってる。どっちにしろ来年の話だぁな」
「そうですね。役所がとっとと動いてくれるといいんですが...」
俺はそう答えながら髪飾りを握り締めた。
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これからも期待してます。

大好きなオオカミ様の話にまた会えて、とてもうれしいです。

ようこそいらっしゃいました。
これからも宮大工氏のお話は随時採録予定です。
"オオカミ様の涙”の続編は近い内に載せる予定ですので、
ご期待下さいませ。

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