現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第四十七夜 妖狐哀歌 4 02/17

仕事が追い込みに入り、少々ご無沙汰してしまった...
先日、仕事上の付き合いの有る方から偶然にも当ブログの話が出た。
もちろん、自分がここの管理人であるとはそれまで知らなかった方だ。
その方の高校生の娘さんが大ファンだという事で、
その方も娘さんに誘われて読んで下さっているそうだ。

ただ、娘さんは感動し、実話だと信じてくださっているが
その方自信は創作だと思われて居ると言う事で、
その点は残念では有るがそれは読者の感じ方に拠るものなので
自分がどうこういうべき事ではない。

自分が管理人だと言う積りも無かったが、所長がヒョロっと話してしまい、
少々気まずい雰囲気となってしまったが引き続きのご愛読をお願いした。
世の中、狭いものであると感じた一件だ。

さて、風熊が宮大工氏に現在休業中である事を伝えたら
良ければゆっくり療養がてら遊びに来いと誘われて、
さっそく月曜から出かける事にしたらしい。
なんでも、宮大工氏のバイクの調子がイマイチなのを整備するとの事...
沙織様も是非来て下さいと仰られているようだ。
また、途中で祐樹を拾っていくそうである...

さて、それでは妖狐哀歌を引き続きお届けしよう...

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少しの間、美しく響く笛の音に聞惚れていたが
はっと我に返り、階段上の少年を見上げる。
俺を見つめながら吹いているようだが、薄暗さで表情は確認できない。
俺は意を決し、階段を上り始めた。
一段一段、しっかりと踏みしめながら上ってゆく。
少年の表情が確認できそうな位置まで来た途端、少年の姿が掻き消えた。
しかし、笛の音はまだ響いている。
階段を上り切ると、少年が社の前で笛を吹いている。
俺は一礼すると、鳥居を潜り社へと向かおうとした。

鳥居を潜ろうとした瞬間、俺の体はピタッと動かなくなった。
そして、俺の目の前に少年の顔が有った。
オオカミ様と同じ、宇宙の深遠を思わせる漆黒の瞳に俺の目は奪われた。
息が掛かりそうなほどの距離で俺は少年と対峙している。
どれほどの時間が過ぎただろうか、少年の朗々とした声が響いた。

「迷いか、惑いか」

俺は意味が解らず、呆気に取られた。少年は繰り返した。

「迷いか、惑いか」

その時、いつか見た夢が甦った。
少年から手渡された髪飾りを抱きながら涙を流していたオオカミ様の姿。
そして、あの時の言葉。

「あのひとは...強い人です。迷う事はあれど、惑う事はありません」

全てが溶け去るようだった。
惑いも、迷いも。
俺は答えた。

「迷いも惑いも、今は無し」

少年の瞳に驚きの色が浮かんだようだった。
そして、オオカミ様とよく似た穏やかな微笑を浮かべ、
すっと消えてしまった。
そのままへたり込み、俺は眠ってしまった。

目覚ましが鳴っている。俺はガバッと身を起こした。
辺りを見回すと、自分の部屋である。
「!?」
まるで狐に摘まれた様で、何がなんだか解らない。
俺はバイクでオオカミ様の社に行った筈だったが...
時間は六時半。いつも起きる時間だ。
「夢、だったのか...?」
まどろみながら見た、夢...?
昨夜からの出来事と、自分の迷いが見させた夢だったのか...?
釈然としないまま身支度をし、外に出る。
車に向かいながらバイクの脇を抜ける途中、マフラーに手が触れた。
熱い感触に驚き手を戻す。エンジンにも手を触れてみると、
つい先ほどまで走っていたように熱を持っていた。

昼休み、優子さんの勤務先に電話をする。
優子さんに今夜時間を取ってもらう様お願いすると、
電話の向こうで嬉しそうに了解してくれた。
今夜、彼女の喜びを壊す事になると思うと気が重かったが、
このままでは彼女を更に苦しめてしまうと自分を叱咤した。
現場を早めに切り上げ、事務所に帰る。
そこには既に優子さんが到着し、おかみさんと談笑していた。
彼女の輝く様な笑顔は、昨夜の事が有るからだろう。
俺を見つけると嬉しそうに駆け寄って来た。
「お疲れ様でした!」
無邪気な笑顔を見ていると胸が苦しい。
俺達が出掛ける寸前に晃が帰ってきた。
「デートですか。行ってらっしゃい」
晃は俺達を寂しそうに、しかし穏やかな微笑で見送った。

食事中も楽しそうに話をする彼女。
しかし、途中で俺の様子に気付き、心配そうに聞いてきた。
「どうしたんですか?具合でも悪いの?」
なんでもないよ、と答える俺。
そして食事も終わり、彼女を送る為に車を走らせていると
優子さんが頬を染め、はにかむ様にして微笑み、口を開いた。
「今夜は帰らないかも、って両親には言って来ました...
 ○○さん、今夜は、私...」
俺は申し訳無さで押し潰されそうだった。
ポケットの中に入っているお守りを握り締め、俺は口を開いた。
「・・・優子さん、ごめん。俺は、貴女の気持ちに応えられない...」
彼女は、微笑んだまま凝固した。
空気さえも固まった様な車内にどれほどの時間が流れただろうか。
「・・・え?・・・ごめんなさい、意味が・・・解らない・・・よ?」
本当に混乱している。可愛らしい微笑を張り付かせたまま。

「俺は、貴女が好きだ。でも、それは親友として、
 妹の様な存在としてなんだ。男女の愛情ではないんだ」
俺の言葉は彼女の心を貫き、引き裂いた。
「・・・なんで・・・だって、昨夜・・・そんなの、ないよ・・・・・・」
彼女の表情から微笑が消える。
彼女は驚きと悲しみの表情を張り付かせたまま、黙り込んでしまった。
五分後、彼女の家の玄関に着く。
黙ったまま車から降り、ふら付きながら玄関へと向かう彼女を見送り、
俺は車を出した。



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なんとも胸が痛いお話です
この時点では後の大団円など誰も判ろうはずもなく
優子様の深い悲しみと宮大工様のやるせない
罪悪感をなんと申してよいのやら・・・

J殿、忙しい合間のUPお疲れ様です。
いよいよ身近な方のもファンが増えてきたのですね。
宮大工氏のお話は若い方のほうが実話として受け止めるような気が僕もします。
ちなみに私は実話と思ってます(あっ、ただ自分はもう若い部類じゃないですよw)

先のコメント欄に書き洩れましたが、祐樹さんのお姉さんがオオカミ様の
功徳で成仏できることをお祈りしております。

ねねたん様
このお話は主に晃さんと優子さんご夫婦から聞かせて頂きました。
優子さんがちょっと涙ぐみながらここの辺りをお話している時に、
沙織様はにこやかに宮大工氏の腿をつねり上げておりました。
そして、「罰当てれば良かったのに...」と呟いておりました...((((;゜□゜))))

min様
祐樹達に何か起こったようです...
自分も所長にぶーたれられながら、明朝から行って来ます。
果たして何が有ったのか...?

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