現代不思議忌憚異聞録

日本・世界各地・そして宇宙まで我々が見・聞き・体験した摩訶不思議な怪異憚をつらつらと採録して行く。

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第七十五夜 暴れ護神 2 07/04

それでは、「暴れ護神」の続きをお届けしよう...

殆どの神々は不届きな人間に対して怒り、荒ぶる事は有るが、
基本的には温和で慈悲深い存在であるらしい...
また、そうでなければ現在の奢り高ぶった人間など
とっくに存在を抹消されていただろう...

しかし、神々やその眷族の中には、気性が荒く恐ろしい方もいらっしゃるらしい。
優子さんの分け身たるお狐様もどちらかと言うと気性は荒い方だが、
まだ理性的な面が多く荒いというより感情的なだけだろう...

しかし、中にはまさに荒神とでも言うべき存在も有るという。

それでは、お聞き頂こう...

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~風を巻いて跳躍した二羽の巨大なウサギは亡者達を跳ね飛ばしながら
甲板を跳ね回り、時には強烈な蹴りで亡者を弾き飛ばしました。
ウサギ達にやられた亡者はバラバラになって倒れ臥し、
苦痛の呻き声を上げていますが、少し経つとふっと消えてしまいます。
甲板上はまるで戦場の様相を呈していますが、不思議と物音はほとんどしません。
聞こえてくるのは倒れた亡者の呻き声と海を渡る風の音だけでした。

私は二羽のウサギの強さに安堵し、床にへたり込んでいました。
その時、ラビちゃんの後ろ蹴りで吹き飛ばされた亡者の一人が
私の直ぐそばに飛んできました。
私はビクッとしましたが、既に亡者は下半身を失っていて
立ち上がることも出来ません。
ふとその亡者を見ると、まだそんなに腐ってもおらず、
生きていた時の面影を強く残す少女でした。
少女は口と鼻から水を、そして瞳から涙を流しながら何かを呻いています。
私は少女に近寄り、呻き声を聞き取ろうと耳を欹てました。

「助けて・・・お母さん・・・苦しいよ・・・息が出来ないよ・・・助けて・・・」

その言葉に私は愕然としました。
そして、思わず少女の上体を抱き起こしました。
少女は私に噛り付き、しばらく喘いでいましたがふっと微笑むと
私の手に海水を残してパシャっと消えてしまいました。

「ラビちゃん!ピョンちゃん!止めて!こっちに来て!」

私の叫びにウサギ達はピタッと止まり、一瞬にして私の傍らへと跳び戻りました。
そして、ふんふんと鼻を鳴らしながら私に頬擦りしてきます。
「ありがとう。護ってくれてるのに勝手なこと言ってごめんね」
私は二羽の顎を両手で撫ぜながら謝り、甲板を眺めました。
二羽に吹き飛ばされた亡者達は既に消え去っていましたが、
まだまだかなりの数の亡者が甲板に残っています。
私は彼らの呻き声に耳を欹てました。

「暗い・・・ここは冷たい・・・」
「誰か・・・助けてくれ・・・」
「寂しいよ・・・ママ・・・どこにいるの・・・」

亡者達は口々に救いを求めています。
彼らの望みは、ただ冷たく暗い水の底から逃れたいだけなのだと
気付いた私は、どうすれば彼らを救えるのか戸惑いました。
「ラビちゃん、ピョンちゃん、どうすれば良いの・・・?」
私の問いに、二羽のウサギは困ったように口をもぐもぐさせました。

亡者達は再びのろのろとこちらへ向かって進み始めました。
ウサギ達は耳をピンと立て、亡者達に向かっていこうとしましたが
「ダメ!待って!」
という私の声に戸惑い、困ったように赤と黒の瞳を見合わせました。
「ここで待っててね・・・」
私はウサギ達に言うと、ゆっくりと亡者達へと向かって歩き出しました。
そして、亡者の先頭にいる中年の男性向かって話しかけました。
「どうすれば、貴方達を救えるのですか・・・?」
彼は戸惑ったように立ち止まり、何かを言おうとしましたが
口からは水泡と共にくぐもった声しか出ず、聞き取れません。
私はもっとしっかり聞こうと彼の直ぐそばまで近づきました。

「女ぐわぁみさまぁぁっ!」
突然の叫びと共に男性が私に飛びついてきました。
「きゃあっ!」
男性に抱きすくめられながら床に倒れこみ、
背中を強かに打ちつけた私は悶絶しました。
そして他の亡者も私の上に重なるように殺到してきました。
必死で頭を振った私の目に、甲板の縁からなだれ込んできた
無数の亡者に纏わり付かれたピョンちゃんとラビちゃんが映りました。
二羽は必死でもがき、私の方へ来ようとしていますが
唐突に襲って来た亡者の数の多さに思う様に動けないようです。
そして、私の上にも無数の亡者が覆い被さり、
私は窒息寸前になってしまいました。
いつの間にか私の周りは海底の様に海水で満たされ、
鼻と口から海水が流れ込んできました。

意識が遠くなり始め、もうダメなのかな、と感じた時。

凄まじい衝撃と共に私の上に重なり合った亡者が
一瞬にして蹴散らされたのです。
そして、朦朧とした私のお腹を硬い物がむぎゅっと踏みつけました。
私はその圧迫で鼻と口から多量の海水を噴出し、
遠くなりかけていた意識を取り戻しました。
溢れる涙を拭いながらなんとか半身を起こした私の目に
茶色の逞しい足と硬そうな蹄、そしてがっしりとした顎と
口から覗く鋭い牙が見えます。精悍な瞳で私をジロッと睨み、
私の上から体をどかしたそれは、巨大な猪でした。



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